安価でタンパク質豊富でヘルシーな鶏むね肉。普通に加熱するとパサつきがちですが、しっとり美味しく食べたいなら鶏ハムです。
鶏ハムの作り方は至って簡単。砂糖・塩をすり込んで寝かせた鶏むね肉を丸め、沸騰した鍋に投入、火を止めて放置して余熱を入れるだけ…なのですが…
ちゃんと火通ってる??毎回不安になります。余熱を入れる時間はレシピによってまちまち、火を止めるタイミングもむね肉を入れてすぐ、再沸騰してから、数分経ってから…など、レシピごとにバラつきがあります。
ヘルシー志向で食べている鶏ハムでお腹を壊したら本末転倒。かといって、火を通し過ぎたら固くなってしまう。
今回の記事では、加熱不足にビビっている人間による鶏ハム作りを実況中継します。本当は「レシピ」と銘打って紹介したかったのですが、後半あまりにもグダグダになったので「実況中継」としました。
どのくらい加熱したらいいのか
どのくらい加熱したらお腹を壊さないか
和歌山市のホームページによると、
「食中毒菌を殺菌するには、中心部の温度が75℃で1分(もしくは70℃で3分、もしくは63℃で30分)以上必要です。」 http://www.city.wakayama.wakayama.jp/kurashi/kenko_iryo/1009125/1034461/1046488/index.html#:~:text=つまり、鶏肉を63℃,に平均70分必要%E3%80%82
また、以下のような記述も見つかりました。
「75℃、1 分」と同等な加熱殺菌の条件として、「70℃、3 分」、「69℃、4 分」、 「68℃、5 分」、「67℃、8 分」、「66℃、11 分」、「65℃、15 分」が妥当と考えられます。https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000365043.pdf
中心部分が「70℃、3 分」を達成するには、実際の加熱時間はもっと長くなければなりません。くるくる丸めた鶏むね肉の中心部分が70度になるには、相応の時間がかかります。
どのくらい加熱したら肉が固くなるのか?
加熱殺菌したいけど、やみくもに加熱すると肉が固くなってしまう。
ざっくり言うとタンパク質は63℃から凝固を始め、68℃から水分を分離し始めます。
東澤壮晃の楽しい嬉しい美味しいヒント 〜肉食研究室|おうちでやってみよう〜 | Wine Press Japan
より詳しく解説した記事は以下になります。
低温調理での殺菌に必要な温度と美味しさの関係 – Peko Peko
細かいことは肉によっても差があるそうですが、鶏ハム作りの上ではとりあえず「68度から肉の水分が抜け始める」と認識しています。
え、ついさっき、加熱殺菌には「68度で5分」とか書いてあったじゃん。殺菌したら肉が固くなるの?どうすりゃいいの?!
食中毒菌の増殖温度は?
ここまで加熱についての話でしたが、食中毒防止には冷ます時の温度にも気を配らないといけません。
食中毒菌は30度〜40度で最も増殖しやすいため、加熱が終われば素早く冷却することも必要です。
細菌増殖と温度管理について | 食中毒 | お役立ち情報 | 株式会社 東邦微生物病研究所
生焼けのサインは?
鶏ハムが生焼けなのかどうかチェックするには何を見たらいいのか。
分かりやすいのは肉の色です。カットした断面が生っぽいピンク色でぶよぶよしていたら火が通っていません。
ところが、加熱できていてもピンク色というケースもあります。肉に含まれるミオグロビンというタンパク質は加熱すると褐色に変化しますが、中には耐熱性のミオグロビンが存在し、この場合は加熱してもピンク色のままなのです。
鶏ハムがピンク色でも大丈夫?食中毒を防ぐ生焼けの見分け方や調理法を紹介! | ちそう
#12 加熱食肉の赤色現象はなぜ生じるか?(2016年4月号) – 一般社団法人 食肉科学技術研究所
しっかり加熱してもピンク色のままだと、何だか不安になってしまう。
さらに、見た目ではわからない生焼けも存在します。
http://www.city.wakayama.wakayama.jp/kurashi/kenko_iryo/1009125/1034461/1046488/index.html#:~:text=つまり、鶏肉を63℃,に平均70分必要%E3%80%82
やっぱり見た目での判断は怖いと思ってしまう。ちゃんと加熱できてる!と自信が持てるようにしたい。
固くせず殺菌するには
結局、お腹を壊さないよう美味しく作るにはどうしたらいいのか?
肉の柔らかさ<殺菌は絶対です。肉の水分が抜けようとも、「68度で5分」以上は死守したい。一方で、殺菌さえできればいいわけで、70度や80度の高温でキープする必要はないわけです。
ということで、65度〜68度程度で長時間(数十分程度?)加熱するのが理想的だと考えました。そして、加熱が終われば速やかに冷まして菌の繁殖を防ぐのも大切です。
65度〜68度でキープするために、我が家ではIHの保温機能を活用しています。以下の実況中継で詳しく紹介していきます。
鶏ハム作り実況中継
鶏ハム作りは大きく分けて「漬け込み」「加熱」の2プロセスがあります。
わたしはいつも2日かけて作ります。夜に「漬け込み」をして、翌日夜に「加熱」をします。
「漬け込み」の時間はレシピによってまちまちです。色んなレシピを巡回したところ、2時間〜2日くらいが多いようです。
中には漬け込み時間ゼロのレシピもあります。
漬け込み、塩抜きなし!簡単♪自家製鶏ハム | レシピサイトNadia
わたしは夜に作るのが都合がいいので丸1日漬け込むことになります。
まずは漬け込み
我が家ではいつも1度に2枚作ります。
生肉を触るので、使う道具(砂糖、塩、ラップ、保管用タッパー)は事前に用意しておきましょう。
鶏むね肉の皮を取り除き、砂糖→塩の順にすり込みます。順番厳守です。
砂糖が肉を柔らかくし、塩が味をつけます。
肉の両面に砂糖を大さじ1、
両面に塩を小さじ1〜1.5程度すり込みます。
塩の量はお好みで。小さじ1〜1.5は薄味よりだと思います。肉の大きさによって塩加減を調整しています。
むね肉を1枚ずつラップでぴっちり包み、
タッパーに入れます。
水が出てくるのでさらにビニール袋に入れる。タッパーの代わりにチャック付き袋でもなんでも、要は水漏れしないようにしてあればいいです。
冷蔵庫に入れて明日の夜まで寝かせます。
加熱の準備
丸1日経ちました。
ちょっと汁が出ていますね。底にぬめっとした液体が溜まっているのが見えるでしょうか。
作り始める15分前くらいに冷蔵庫から出しておいて、常温に戻しておくと尚良いです。
むね肉についていた砂糖を流水で洗い流し、キッチンペーパーで水気を拭きます。
一晩寝かせている間に塩味がしっかりしみ込んでいるので、洗い流しても大丈夫。
むね肉のつるんとしていない面を上にして、コショウやハーブをたっぷりかけます。
お好みのアイテムを振りかけてください。我が家では粗挽きのブラックペッパー+iHerbで買った無塩のハーブミックスが定番です。
この日使ったのは、ガーリックの風味が効いたオールパーパスと、
迷ったらこれ買っとけという万能シーズニング。
1枚の肉にオールパーパス、もう1枚に万能シーズニングを使いました。2種を混ぜてもオッケーだし、このあたりはお好みで。
*iHerbで5%オフになる紹介コードCNS9137です。
よろしければお使いください。
肉を下からくるりと巻きます。
巻き終えた図。肉がむにっと盛り上がっていますね。分厚いむね肉だとこうなる。
キャンディの包みのように片方の端をねじり、
トントン立てて空気を抜きつつ、もう片方の端も同じようにねじる。
もう一枚のむね肉も同じように包みます。
次ページ:いよいよ加熱!上手くいくのか?